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本を読んだ。まあ、本を読むことでどうにかなるわけでもない。

 

 

Xの悲劇 (角川文庫)

Xの悲劇 (角川文庫)

 

 エラリー・クイーンの作品を読んだ中で、悲劇シリーズから入る人はどのくらいいるのだろうか。これが正攻法だったのかはわからないが、エラリー・クイーンの作品はいずれ読まなければならないと思っていたし、いたるところでも有名な作品であるために知っておくべきである、とも思ったので手に取った。いろいろな人が言っている通り本格派ミステリーと呼ばれるものである。感想としては、面白く、読んで後悔のない作品だった。詳しくは書かないが、核心は書くかもしれない。以下ネタバレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当然あらすじなどは面倒なので書かない。犯人の検討はついてはいたが、2つ目の事件があのような内容であったことや、殺された人間が4人目の共同作業者であることなど、見落としまくっていた。あげく、第三の事件で被害者が示したダイイングメッセージの意味にもきづけなかった。まあ、だからゆえに、最後のページでその意味が書かれている文章を読んだときには、思わず声が出てしまった。本を読んでいて思わず声が出てしまうことなどなかなか久しぶりである。切符を切る、車掌ごとにその形は異なる、彼の形は十字である、といった文章はしっかり頭の中に残っていたのだが、なぜか気づかず、読みながら自分でもそのダイイングメッセージを再現していた。いやしかしドルリー・レーンというのは読唇術を使えるという。舞台で華やかだったころは当然耳も使え、そのような技は持っていなかったであろう。短期間でそういったことを習得したり、可能なパターンの論理的筋道をたてて、そこから非現実的選択肢を排除していく様は、(素人)探偵として当たり前であるが、華麗である。いろいろな人の感想を見ていると、日本国内ではそこそこの評価であり、次作のYの悲劇のほうが好きという人もいる。国外では圧倒的に今作が(悲劇シリーズで)最高傑作であるという評価を受けているみたいだ。さらに言うと、書き方がうまいと思う。惹きつけるのだ。途中、だれるところもあるが、後半の解決に向かうシーン、そして全ての謎が収束されていく様は見事といっても過言では無い。とても高度で、高級なミステリー、推理小説だと感じることが出来た。私もハムレット荘で暮らしたい。